今でこそ、「指揮者」という職業がありますがあなたは指揮者は何をする人だと思っていますか?
- 合図を出す人
- 音楽を創る人
- カッコいい人
色んな見方があるでしょう。
この記事では指揮者の役割とどうして指揮者が誕生したのかを紹介していきます。
どんなこともルーツを知ることで見え方が変わることがあります。
ぜひご覧ください。
指揮者の役割
最初に紹介するのは指揮者の役割ですね。
例えばあなたがメトロノームに表示されている数字を言われればそのテンポを提示できたとします。
そしてプロのオーケストラの前にたったとしましょう。
「せーのっ!!」と始めてそのテンポを提示するだけで役割として認められるでしょうか?
指揮者の役割をどんなに知らなくても、きっと誰もがそんなことはない、と思うでしょう。
もちろん、その通りです。
それだけで帰ろうもんならオーケストラはボイコットし、ギャラも支払われることすらないかもしれません(笑)
テンポの提示だけで許されるのはファミリーコンサートや音楽教室で行われる「指揮者体験コーナー」だけです(笑)
では、実際の現場では何を要求されるのか。
それは、演奏する曲に対する深い考察や解釈に基づいた分かりやすい指揮。
音楽家たちが奏でる音楽の方向性を一つに定め、導く。
場合によっては指揮者としてではなく、指導者の役割も必要です。
詳しく知りたい人はこちらの記事もご覧ください。
最近では指揮者を雇う際に付加価値として編曲能力があることや、ファミリーコンサートなどで司会を務めること、演奏者の配置を考えること、など指揮本来の仕事とは違った「プラスアルファ」が求められる時代になってきています。
指揮者という職業は今はこのような役割が必要です。
しかし最初からこのような職業が確立されていたわけではないのです。
指揮者の誕生秘話
あなたが知っている最も古い楽器はなんでしょうか。
ピアノでしょうか?
例えばピアノは1600-1800年の間に何度か変化、改良が重ねられ今の形になっています。
では、指揮者のルーツを遡ってみましょう。
実は指揮者という役割が明確になったのは19世紀。
より詳細に落とし込むと、1835年にメンデルスゾーンが自分の作品だけではなく、様々な作曲家の作品を取り上げ。オーケストラを指導した時ではないかと言われています。
それまで明確に「指揮者」という存在はいませんでした。
さらに遡ると17世紀にリュリという作曲家がいるのですが、彼が杖のような長い棒を床に打ち付けてリズムをとったのが原型だと言われています。
ピアノのように時代を経て形を変え改善されてきたように指揮者も形を変えて今の指揮者が出来ています。
指揮者の役割はテンポだけだった?
最初の問いに戻りますが、指揮者がテンポだけを示すだけでは今の社会では必要とされません。
しかし、リュリが行った原型の時代では「テンポをキープすること」こそが最も重要だったのです。
この原型は今の指揮者の役割にもきちんと活かされています。
指揮者がテンポキープできるのは当たり前だと思うでしょう。
なぜなら指揮者だから。
でも、これは昔は決して当たり前ではなかったのです。
ただ、床に木の杖をドンドンと打ち付けられては演奏の邪魔なのでこの原型が採用されなくてよかったなと感じます(笑)
そして今の指揮者の形に最も近いものを提示したのがメンデルスゾーンでした。
メンデルスゾーンは結婚行進曲などを作った偉大な作曲家なので知っている人も多いでしょう。
それまでの作曲家は他人の曲を演奏する、指揮するという機会は基本的に持ちませんでした。
自分で書いた曲を売ったり、献上することでお金を得ていたからです。
しかし、彼はバッハのマタイ受難曲など他人の曲も演奏しました。
「自分の作品でないものを人の前に立って指揮しまとめる」
まさに今の指揮者として必要な要素を含んだ指揮をしたのがメンデルスゾーンだということですね。
他人の曲だからこそ、楽譜に書いていないことはその人がどのように考えどのように楽譜を書いたかを想像し自分の解釈として落とし込み、想像して提示しなければなりません。
こうして、メンデルゾーンは作曲家兼指揮者というポジションを作った人ですが、他に有名な作曲家兼指揮者と言えば、グスタフ・マーラーやバーン・スタインが挙げられます。
バーン・スタインまで来ると指揮者として認知していてむしろ作曲家と言う認識が低い人も多いかもしれませんね。
彼は「ウェスト・サイド・ストーリー」など長けた作曲力と指揮者としての名声も得ていました。
マーラーは指揮が出来るので彼の作った曲には、それまでの作曲家では考えられない量の細かい指示が書いてあります。
「ここは2つ振りではなく4つ振りで」や「ここは遅くならないように」など具体的な注意書きまで入っているのです。
作曲家ではなく、指揮者としての職業を初めて担ったのはハンス・フォン・ビューローでしょう。
メンデルスゾーンが指揮者の本質のモデルというなら、ハンス・フォン・ビューローが職業としての指揮者のモデルと言ってもいいかもしれませんね。
今は指揮者は色んな楽団に呼ばれてそこで指揮をすることで報酬を得ます。
メンデルスゾーンの時代はまだ自分の持っている楽団で演奏するぐらいでしたが、ビューローの時代になって色んな楽団に呼ばれて指揮をする形が出来上がり始めたのです。
“指揮は合図をすることが仕事?指揮者の誕生の裏側を紹介!”のまとめ
いかがでしたでしょうか。
指揮者という仕事、そしてその指揮者のルーツを簡単に紹介しました。
細かい話は省いていますが、これだけの大筋を知っただけでも指揮者の役割や見え方が違ってくるのはないでしょうか。
“今の”指揮者は時代背景と共に要求されることもやるべき仕事の量も変わってきていますが、過去の歴史から見ると今もその変化の中の一つでしかないのかもしれません。
これから先どのように指揮者の在り方が変わっていくのかを見守るのも面白いかもしれませんね。
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