ベートーヴェンの交響曲と言えば第5番や第9番が最も知られているでしょう。
しかし、ベートーヴェンの交響曲は知っての通り全部で9曲あり1曲目が存在します。
今回はベートーヴェンの最初の交響曲第1番に関して作曲の背景や当時のエピソードと共に解説していきます。
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ベートーヴェン/交響曲第1番の基本情報
作曲家:ルート・ヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(ドイツの作曲家)
作曲時期:1799-1800年 ※1770年生まれのベートーヴェンが29-30歳の時の作品。
初演:1800年ウィーンのブルク劇場にて。ベートーヴェン本人が初演の指揮者。
楽章構成:4楽章 構成
演奏時間:だいたい30分程度
ベートーヴェン/交響曲第1番は生涯の中でどんな位置づけ?
ベートーヴェンは交響曲第5番や第9番、ピアノ協奏曲など大きな財産を残してきましたが、順風満帆ではないことはよく知られていますよね。
この交響曲第1番に関してはベートーヴェンにとってどんな時代かというと、ちょうど先が暗くなり始めたころ。
誰もが知っている“聴覚の異常”が26-27歳の頃から現れ始めました。
最初は気のせいだと思っていました。
しかし、交響曲第1番の作曲の時期にはそれが本当に病だと自覚し、それが世間にばれないように引きこもり始めた時期でした。
それでもベートーヴェンの交響曲第1番は若干30歳らしく若々しく元気な作品です!
まだこの時は自分の聴覚が完全になくなってしまうという絶望的な状況になるとは心からは思っていなかったのかもしれません。
ベートーヴェンは交響曲第1番を作曲した背景・理由は?
ベートーヴェンは交響曲第1番を作るまではどんな作品を作っていたかというと主にピアノ曲や協奏曲を作っていました。
そして、この交響曲第1番は当時のベートーヴェンが学び、作ってきた作品の集大成だったのです。
ベートーヴェンの交響曲第1番誰の影響を受けている?
この時期のベートーヴェンの先生は交響曲の父と言われるハイドンでしたが実はハイドンに対して不満を抱いていました。
なぜならハイドンは多忙すぎてろくにベートーヴェンに指導できなかったからです。
あるときにそんなハイドンから、「ハイドンの教え子」と楽譜に書くことを命じられましたが拒否しました。
「私は確かにあなたの生徒だったが教えられたことは何もない」と。
そんな毅然とした態度のベートーヴェンの初期の作品は、自分が17歳(1787年)の時にウィーンで出会った天才のモーツァルトから影響を強く受けています。
また他にも宮廷学長であるサリエリなどから学びを得ています。
ベートーヴェンの交響曲第1番までの主な作品は?
交響曲を作るまでの5年間を(1794-1799年)ザっとまとめるとこんな感じですね。
- 1794年
前奏曲とフーガ ハ長調(弦楽四重奏)Hess 31(?)
前奏曲とフーガ ヘ長調(弦楽四重奏)Hess 30(?)
ピアノ三重奏曲第1番 変ホ長調 Op.1-1
前奏曲とフーガ ホ短調(2つのヴァイオリン、チェロ) Hess 29
弦楽三重奏曲第1番 変ホ長調 Op.3
- 1795年
ピアノ協奏曲第1番 ハ長調Op.15
ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調Op.19
ピアノ三重奏曲第2番 ト長調 Op.1-2
ピアノ三重奏曲第3番 ハ短調 Op.1-3
- 1796年
チェロソナタ第1番 ヘ長調 Op.5-1
チェロソナタ第2番 ト短調 Op.5-2
- 1797年
ピアノ三重奏曲第4番 変ロ長調「街の歌」 Op.11
弦楽三重奏のためのセレナード ニ長調 Op.8
- 1798年
ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンス第2番 ヘ長調 Op.50
ヴァイオリンソナタ第1番 ニ長調 Op.12-1
ヴァイオリンソナタ第2番 イ長調 Op.12-2
ヴァイオリンソナタ第3番 変ホ長調 Op.12-3
弦楽四重奏曲第3番 ニ長調 Op.18-3
弦楽三重奏曲第2番 ト長調 Op.9-1
弦楽三重奏曲第3番 ニ長調 Op.9-2
弦楽三重奏曲第4番 ハ短調 Op.9-3
<データ引用元:Wikipedia>
たった5年足らずで20曲以上…いかに勤勉で努力家であったかがわかりますよね。
ベートーヴェンとモーツァルトという2人の天才の違い
ベートーヴェンは天才と言われることもありますが、モーツァルトとは違います。
何が違うかというと、モーツァルトは”本当の”天才だったので楽譜を書くにもほとんど書き直しがなかったと言われています。
しかし、ベートーヴェンは楽譜を書く際には何度も描いて消してを繰り返して一つの作品と向き合い音楽を作っているのです。
それが二人の”天才”の違いなのです。
ベートーヴェン/交響曲第1番のおすすめ音源
私の独断のおすすめ音源がこちら。
指揮者ーギュンター・ヴァント
オーケストラーNDR Sinfonieorchester(NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団)
<1楽章>
<2楽章>
<3楽章>
<4楽章>
”ベートーヴェンが交響曲第1番を作曲した背景・理由は?実はハイドンが大嫌いな作曲家!?”まとめ
音楽を聴くだけでは見えることのないベートーヴェンの想いや人生があります。
それを忘れさせてくれるようなベートーヴェンの初めての交響曲。
聴く人も演奏する人もこんな背景を知るだけで曲の本当の意図が見えるかもしれませんね。
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